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鈴鳴カフェ

ポケモンの二次創作とオリキャラの小説を連載しています。

last soul 第22話

last soul

~先輩の言うことにはきちんと聞きましょう~


先輩の言葉を理解するのに数秒。その間に先輩は、修行場を出て行ってしまった。取り残された私はただ立ち尽くすしかない。
詳しい説明はしてくれなかった。だから、結局のところ、理解出来ていない。しかし、一つ確かなのは、今、危険なことが起ころうとしているということ。
「わ…訳がわからない……けど、ここは先輩の言う通りにした方がいい………のかな」
それで本当にいいの……? でも、残ったって出来ることなんて一つもない。それなら、いっそ……
「んんんんん!! むりぃぃぃ! 先輩の言うことなんて聞けない。まずはギルドに戻ってみよう」
こんな私でも出来ることがあるかもしれないんだ。先輩になんて言われようと無視だ。無視! 邪魔かもしれないけど、そんなの関係ない。
というか、一人で帰ってくることがないようにっておじさんに釘を刺されてるから、結局は帰れない。どこか過保護なんだよな……おじさん。過保護だな~とか思っていたら、ほっとかれるし……おじさんの思考はよくわからない。
「っと……いつの間にか関係ないこと考えてた。早く戻ろ」
ぐっと背伸びをして、よし、と気持ちを切り替えた。そして、遅れて私も修行場を出た。

サファと別れたあと、ラグはギルド地下にある情報室へと来ていた。普段なら、そこでノイズがキャスター付きの椅子に座り、カタカタとキーボードを叩いている。しかし、そこには誰もおらず、機械だけが並ぶ寂しい雰囲気が漂っていた。
ラグは中央にあるデスクトップの電源を入れ、近くに置いてあったヘッドセットを着ける。そして、電源の入った画面にはふわふわと毛玉のようなものが浮いていた。
「おい起きろ。仕事だ」
『……ご主人じゃないですね』
不機嫌そうにゆらゆらと揺れる毛玉に呆れつつも、どこから取り出したメモリースティックを差し込んだ。
「ご主人じゃなくて悪かったな。しぃ、今から情報入れるから、整理してくんない?」
『少々お待ちください。情報をスキャンします』
しぃと呼ばれた毛玉……正確にはナビゲーションプログラムで、現在プログラミングの仕事をしているメイズによって造られたのだ。しぃが言う、ご主人とは、作り手のメイズのことではなく、いつもここにいるノイズのことである。
『ラグ様、今の管理者権限では扱えない情報を検出しました。いかがなさいますか?』
「あー……そっか。忘れてた……じゃあ、俺のライセンス使え」
『了解。ラグ様のライセンスを一時的に取得します』
「どんくらいで終わる?」
『三分程で完了します』
「なかなか速いな。助かるよ。にしても………まさか、こうなるとは思っていなかった。……が、指示は来ないし、動けないな」
椅子に座り、天を仰いだ。
本当なら、命令など無視して殴り込んでもいいのだが、それでは交渉決裂。こちらが大損してしまう。あの人…ヘラに何されるか分かったものではない。思うように動けないこの状況下が歯痒く、悔しく思うのだが、約束は約束。きちんと守らなければ、次に繋がらない。
そう割り切り、次に浮かんできたのは、先程まで一緒にいたサファのことだ。
「…………あいつ、帰ったかな。あんな言い方しちゃったけど、邪魔なのは事実だし。……ん、でも、俺の言うことなんて聞くのか? あの馬鹿が?…………失敗した。絶対に帰ってねぇよ、畜生」
はあ、と溜め息をつきながら、頭を抱える。そして、ちらりと情報整理しているしぃを見た。
「しぃ、それ終わったら、俺のパソコンに送れる?」
『問題ありません』
「ちょっと出てくる。すぐ戻るけど……誰か入ってきたら、その情報隠せよ。極秘なんだから」
『その辺は抜かりありません。任せてください』
椅子から立ち上がり、ヘッドセットを外して机の上に置いた。そして、早足で情報室を出ていった。

「………え、二人ともコウくんがどこ行ったかわからないの?」
ギルドにいた、リアルくんとシリアちゃんにコウくんの居場所を聞いてみたところ、二人とも知らない、という答えが返ってきた。
「紅火のやつ、何も言わずにここで待機してろーって言って出てったんだ。だから、その通りにしてるわけ」
「きっと紅火さんなりの考えがあってのことなので、俺達はここで待機しているんです」
「じゃあじゃあ、なーんにも知らない?」
私がそう聞くと、シリアちゃんはふるふると首を振った。
「知らないわけじゃないぞ? けど、言っちゃ駄目って言われてる」
なんか私だけ除け者にされている気がする……
「除け者というより、知られなくないのでは? 巻き込みたくないとか」
「うーん……でも、私だって新人でもここのメンバーだよ? そりゃ、戦力にはならないけども」
「そうだな、戦力にならなんな」
…………………えっ?
私が後ろを振り向くと、腕を組んで笑顔を浮かべているラグ先輩の姿があった。笑顔は笑顔でも、いい笑顔ではなく、イラついてるような笑顔だ。
「せ…先輩……あの、怒って…」
「俺、お前に何て言ったっけ? ここに残って探り入れろって言ったか?」
「いえ……でも、私だってここのメンバーですし」
「……んなこと聞いてねぇよ。俺は何て言った?」
「………………う…でも」
「何て言ったか聞いてんの。それだけ答えろ」
先輩の顔から表情が消えた。元々、無表情が多いとは思っているけれど、それとはまた違う類いに見える。特に睨んでいるわけでも、威圧をかけているわけでもないのに、なぜか圧迫されているように感じた。圧迫というよりも、恐怖に似ている?
「サファ、答えろ」
「………………帰れって…言いました」
「そうだ。それで、お前は今、何してる?」
「それは……」
「ラグ兄、そんなにサファさんを責めないでください。ラグ兄の言っていることは正論だと思いますが、サファさんが仲間なのも事実ですよ」
「そーだよ。そんなに怒るなよ」
「……………チッ」
リアルくんとシリアちゃんの制止で先輩はふいっとそっぽ向いた。それと同時に私は息を吐く。
こ…怖かった………!
これ以上ここにいたら、先輩の逆鱗に触れかねない。というよりも、もう触れている気もするけど、これ以上悪化させないためには退散するべきだろうか。
「ラグ兄、隠す必要ないと思いますよ。いざってときもありますし」
「そうは言ってもな……こいつの場合、自分の身すら守れないド素人だし。知らないことで守れるもんもあるし……つか、話すの面倒」
本音はそっちか。
「はあ…………全部終わったら話すよ。それでいいだろ? 今は俺の言うこと聞いて、引きこもってろ」
「終わったあとって聞く意味あります……?」
「じゃあ、言わないけど?」
「………………ごめんなさい。気になります」
私の回答を聞くと、先輩はリアルくんたちの方を見た。そして私のことを指差しながら、溜め息混じりの声を発した。
「リアル、シリア、ちょっとこいつ送ってくる。特に何もねぇと思うけど、一応警戒しとけ。何かあったら、連絡な」
「了解です。ラグ兄も気を付けて」
「送るだけだ。気を付けるものなんてない。サファ」
「あっ……はい」
私はちょっぴり気まずい雰囲気のまま、先輩と家路につくことになった。
………一体全体、何が起こっているんだろう?



~あとがき~
うわあぁぁぁぁぁ!!!! 無理矢理過ぎる展開だよぉぉぉ!!! すいません。わざと違うんです。
何かこうなりました。

次回、ノイズを探す紅火のお話。
紅火中心に書きますよ~♪

ラグってサファに対して少し厳しいところがあります。素人ってのが一番の理由なんでしょうけども。
悪く言えば、過保護なのかなぁ……? うん、わっかんねぇや!

ラグと会話していた『しぃ』というのは、いわゆるAIってやつです。で普通に会話も出来ちゃいます。ナビゲーションプログラムって作中では言ったかな?
ふわふわした毛玉……あれです。ケサランパサランみたいなやつですよ。白い毛玉です。目とかついてるよ。ちょんちょんって。多分。
なぜそのような容姿なのか……ぶっちゃけると、メイズさんに絵心がなかったから、簡単に描けるふわふわ毛玉になりました。誰かに頼めよって話ですが(笑)
ちなみに、しぃの言う、ご主人はノイズ。マスターはメイズです。他は様付けかな?

ではでは!