鈴鳴カフェ

ポケモンの二次創作とオリキャラの小説を連載しています。

last soul 第20話

~明と暗~


地下にある部屋に戻ると、リアルくんは当然ながらそこにいた。椅子に座って黙って読書中らしい。そんなリアルくんを気にすることなく、コウくんとシリアちゃんは二人でふざけあっているようだ。こうして見ると、二人が子供っぽいのが歪めない。
「おい、紅火、シリア。何してるんだ?」
「あ! ノイズさん、姉ちゃん♪ 今ね、学校で流行ってる遊びしてたんだ」
「どこでも流行ってるんだぜ♪」
どうやら、コウくんの学校とシリアちゃんの学校とで流行ってることらしい。となると、今、小中学生の間で流行っている、ということなのだろうか。私にはあまりわからないので、説明は控えさせてもらうけれども。
「サファさん、初めての修行の方はどうでした?」
本から顔を上げたリアルくんが聞いてきた。まあ、これと言って成果はないのだが、これから頑張る、としか言いようがない。
黙っている私を見て、リアルくんは察してくれたのか、これからですよ、と励ましてくれた。年下に…と言っても、一歳差だけれども、慰められるなんて、私もまだまだです。
「そういえば、ラグ兄は?」
「なんか用事? が出来たっぽいみたいで、どっか行っちゃった」
「またあの人ですかね。ラグ兄、気に入られてますね」
「んー……ま、ラグの成せる技って奴? 単純に技術を買われてんだろ」
リアルくんとノイズさんの言っていることが理解出来ない。コウくん逹は全く話を聞いていないから、聞いても答えられないだろう。コウくんなら何か知っていそうだけれど、ちょっとお馬鹿さんだから何とも言えない。
さっきは知らない方がいいって言われちゃったしなぁ……
「つか、ラグのことをこう…マスターが知っているのかも怪しいな。マスターとあの人、仲悪いことで有名だから」
「ですね。ラグ兄もその間を行き来するなんて、チャレンジャーです」
「ほーんと、たまにラグの考えがわからないときあるな。長いこと一緒だけど、謎だわ~」
「そういうのはお互い様って奴だと思います」
「そお?」
こくこく、と無言でうなずくリアルくんに対し、ノイズさんは首をかしげている。リアルくんとノイズさんって仲いいんだな。
対して、話に出てきたマスターとある人…恐らくラグ先輩を呼び出した人のことだろう…は仲悪いようだ。本家繋がり……だったりするのだろうか。なんて、そんなことあるわけないか。
「うがー! 裏の世界もわからないことだらけだー!」
「どーしたの、サファ」
「修行厳しすぎて、壊れたんでしょうか」
「いや、そういう訳じゃないんだけど……もう今日は帰ろうかな。コウくん、どうする?」
シリアちゃんと遊んでいたコウくんにそう聞いてみると、こちらを振り向いた。
「ん? 姉ちゃん帰るなら、俺も帰るよ♪ じゃあね、シリア~」
「おう♪ また明日」
ノイズさん、リアルくん、シリアちゃんと別れ、私とコウくんはギルドを出た。家に帰る途中、ノイズさんとリアルくんが話していたことをコウくんに伝え、先輩が誰と会っているのかを聞いてみた。
「んー……絶対とは言えないけど、ヘラさんかな。多分」
「ヘラ……さん?」
「うん。本家のリーダーみたいな人だって聞いてる。表向きには色んな仕事をしているみたい。母さんとはちょっと気が合わないらしいよ」
「そんな人が先輩に何の用なんだろう?」
私がそう言うとコウくんは肩をすくめて、わからない、と言った。私はコウくんがすぐにいつものおふざけモードになるのかと思ったら、真剣な顔付きのまま呟く。
「んでも……もしかしたら…まだ……」
「コウ…くん?」
「…………ううん。何でもない♪」
にこっと笑顔を見せ、私の前を走った。そしてくるりとこちらを振り向き、手を振る。
「ほらほら♪ 早くかーえろっ!」
「う、うん……」
振り返ったコウくんが見せた笑顔が何となく作り物に見えてしまったのは気のせいだろうか……?

いつもの場所、指定された時間に行ってみると、やはりと言うべきか人の気配は一つもなかった。それでもなお、ラグは被っているフードを脱ぐことはせず、黙って約束した人物を待った。
「…………どんな要求されるのやら」
ロリポップを舐めつつ、暇を持て余していると、マントを揺らしながらサーナイトが近付いてきた。
「やあ♪ ラグ、今日は来てくれてありがとう」
「どうも。ルピナを通して話は伺っていましたよ。しかし、今回は随分と時間がかかりましたね」
「うん? それは嫌味かい?」
「いえ、別に。………それで今回はどうすれば」
ラグの問いかけにサーナイト…ヘラはにこっと笑顔を浮かべた。その笑顔を見て、ラグは以前の事柄等がフラッシュバックしたのか、表情が固まる。今度こそは無茶な要求はなしで、と願うものの、それが一生叶わぬことだということも残念ながら悟っていた。
「もっちろん、僕の要求を飲んでもらうよ。色々考えているから、決まったら連絡するよ」
「ま…まだ決まってないんですか。じゃあ、なんで俺は呼ばれたんです?」
「会いたかった半分、お知らせ半分だよ」
「最初のは聞かなかったことにします。お知らせとはなんでしょう?」
ラグが簡単に流すとヘラは不機嫌そうな雰囲気を漂わせるが、気にしていてはこちらが持たない。そう割り切り、彼女の言葉を待った。
「ラグくん、意地悪。……お知らせはあれだよ。奴らの処遇についてだよ」
「? いつも通り、半殺しじゃないんですか?」
「うん。もう全滅させちゃってよ。こちらで色々と調べて裏付けもしたんだよね。今回に限っては証拠不十分って訳でもないし。……ラグくんなら、簡単でしょ?」
「そりゃ、半殺しよりは、幾分か簡単ですよ。……もしかして、俺のために時間かけたんですか?」
「………まさか。気紛れだよ」
冗談、とでも言うように肩をすくめて見せた。それでもラグには、彼自身の手で全滅させるために時間をかけたのだろうと思った。
「ありがとうございます、ヘラさん」
「お礼を言われる様なことをしていないけれど? さて、まだ動かないでよね。あちらに動きがない以上、下手に出たくないもので」
「わかっています。そちらの合図を待ちますよ」
「理解が早くて助かる。………それじゃあ、いつも以上の働きを期待しているよ、『疾風の銃士』さん」
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不敵な笑みを浮かべるヘラに対し、ラグは無表情のまま黙ってうなずいた。そして、くるりとヘラに背を向け、その場を立ち去ろうとした。が、ヘラに止められ、ラグが若干、煩わしそうに振り返る。
「わかっているだろうけれど、あの子のことを生かすも殺すも君次第だからね。ま、頑張ってね。何かあったら……この先は言わなくても大丈夫?」
「…………えぇ、もちろん」
ラグはそれだけ言うと、今度こそ、その場を立ち去った。ヘラも呼び止めることはせず、ラグの背中を見つめ続けた。



~あとがき~
ふう……これでシリアスな重苦しい話に入れます。
ノイズさんメインの話になりますが、動くのは主人公であるサファ&ラグですけどね! 主に実行はラグですけどね!

次回、ラグとサファの修行の続き。あとは事を起こしたいです←

新キャラと呼べるほどのキャラか知りませんが、ヘラさん登場です。実は、ラグとルピナの会話にヘラ、と出てきているのです。なので、初登場とは言えません。まあ、本人が喋ったのは今回が初めてだから、初登場でいいのかな?
紅珠さんと仲悪し、です。そこに色んな人が挟まれて、巻き添えを食らうのがお約束。よくやられるのは、二人の間を行き来するラグですかね。あとはとばっちりで、ノイズとかロスもたまに挟まれてたじたじしてます(笑)
メイズは適当に受け流すので、挟まれても大変だとか思っていません。涼しい顔でやり過ごします←
一番器用なキャラなんですよね、メイズさん。

ではでは。