鈴鳴カフェ

ポケモンの二次創作とオリキャラの小説を連載しています。

last soul 第18話

《この物語には死ネタ、暴力表現等の描写があります。閲覧する際はご注意ください》





~戦い方は人それぞれです~


「………技、ですか。でも…」
「使える使えないの問題じゃねぇんだよ。使えるようにしないと、お前が死ぬだけなんだからな」
私が続きを言う前に先輩はストレートに正論をぶつけてきた。そりゃそうだ。戦いの手段を知らなければやられるのみ。……なのは、わかっているんだけれど。
「仮に使えるとして……どう頼るんですか?」
「技で相手の動きを制限したり、予測したり……だな。そういうのは、殺しの技術でやってもらいたいんだが、無理だってのが昨日のではっきりしたから」
あう。
先輩はどこからか取り出したナイフを弄びながら、私達に向き合った。そして、くるりとナイフを回し、私に向けた。
「これから俺が教えてやる。短剣の使い方もな」
「サファさんは短剣使いってことですか」
「一番ましだったからな」
先輩は、半ば諦めているかのような声でリアルくんに説明をした。それは仕方のないことだとはいえ、軽くヘコむのはおかしいだろうか……
「えっと、技を使うことはおかしいことじゃないですからね。特にサファさんのようなエスパータイプなら」
リアルくんのフォローに私は驚きを隠せなかった。私の反応に気が付いたのか、リアルくんは私に説明してくれた。
「俺もシリアも電撃を使うことがあるので。なので、珍しい話ではないんです。……ですよね、ラグ兄」
「まあな。相手の動きを鈍らせるのは一般的な考えだし……ま、俺には有効な技がないが」
「ラグ兄には“どくどく”があるじゃないですか」
リアルくんに言われると、そうだけど、と小さく呟いた。先輩はあまり、技を補助として使うことがないのだろうか。
「でも技に頼る時間がもったいないじゃん。それなら、有効な技を覚えるより、殺しの技を覚える」
「ラグ兄はそれで調律されていますけど……全員が全員、そういうわけではありませんしね」
「…………そりゃそうか。現に目の前にいるし」
先輩はそう言うと私の方をじっと見てきた。妙に納得している感じなのが腹が立つが……事実なのだから仕方がない…か。
「とりあえず修行場に行くぞ。今日は簡単な扱い方だけでもマスターさせてやる」
「あ、はい……」
私と先輩はリアルくんをその場に残し、部屋を出た。リアルくんは頑張って、と言うように笑って送り出してくれた。
昨日が散々な結果だったから、全く気乗りしない。しかし、先輩は私を気遣う気がないのか、くるくるとナイフをペン回しするかのように扱っていた。滅茶苦茶危ないと思うのだが、落とす気配は全くない。
先輩みたいに、とはいかなくても、どうにか戦えるくらいにはなりたいと思う。……思うけど…私はまだ、この仕事のことをきちんと理解したわけではないのだ。恐らくそれを理解するのは、自分の目で実感したあと……そんな気がする。

修行場につき、早速、短剣の使い方を習うことになった。短剣、と言ってもやはり色々な種類があるようで、先輩がずっと弄んでいたナイフはもちろん、それよりも小さいやつもあれば、大きいものもある。私は先輩が持っていたやつより少し大きいものを手に取った。
「………そもそも、短剣とナイフは別物なんだよな」
「え? 同じなんじゃないんですか?」
「お前が持っているのは短剣だよ。……俺の持っているのはナイフ。それの区別はわかるか?」
「いや、全く。短剣=ナイフって思ってました」
「……短剣は“dagger”だ」
だがー?
「発音悪いな……まあ、いいけど。短剣は対人用武器のことを指し、ナイフは日常的刃物を指す。短剣には諸刃が両面にあるけど、ナイフは片方だけなんだ。ほれ」
先輩が差し出したナイフの刃の部分を見てみると、確かに片方にしかついていたない。よく見る包丁とかそんな感じのやつだ。包丁よりは小さいナイフだけれど、よく見れば違うのがわかった。私がうなずくのを確認し、またナイフをくるくると回しながら説明を再開した。
「実を言うと、短剣って殺傷能力が低いんだよな。主にサブとして使われることが多い。接近武器だし、それなりの技術もいる。接近戦になるだろうから体術も覚えた方がいい」
「そんな大変な武器を私に……?」
「暗殺において、一般的には銃が適していると言われている。けど、お前が使えないんじゃ仕方ないだろ。文句言うなら自分の能力の低さを恨め」
あう。まあ、銃が適しているのはなんとなくわかりますけど……
「ま、人それぞれの向き不向きはある。それに俺は使い手によって、暗殺に適している武器、というのは変わると思っている。俺にはどれがいいかなんてわからないからさ」
先輩には選択肢が沢山あるみたいですしね。……そりゃ、そうなりますよね。
思いきり嫌味たっぷり&皮肉たっぷりを込め、言ってやるが、ラグ先輩は全く動じず、知らんぷりされた。反応がないと、恥ずかしくなってくるから不思議である。
というか、今の私、滅茶苦茶子供っぽい……
「基本動作、構えは教えてやる。そこからどうするかは……わかっているな?」
はぁい……頑張りまーす…
私のやる気のない返事に、先輩は無言で私の後頭部を叩いた。更にじろりと睨まれ、私の立場はないことを確認させられた。
しかし、さっきの説明からすると、私みたいな運動神経ゼロのやつに扱える代物なのだろうか。無理なように聞こえたのは私だけなのだろうか。
いやいや、弱気になるな自分! 先輩が選んだのだから、まだましな方なんだろう。そこから私がどこまで伸びるかが問題なのだ。頑張れ、私。負けるな、私!



~あとがき~
修行シーンとか書くのめんどいので、簡単にやっちゃいたいと思います。描写少なかったら、想像力を働かせてくださいn((殴

次回、ラグとサファで修行とか。メンバーの実力の話とか。次の章への布石とか。

運動神経ゼロのサファにラグはどうするんでしょうね。なんだかんだ、ラグの悩みの種になりそうです。サファが。

ラグは自分の技を出すより、武器で戦った方がいいと思っています。さらに、技だけって言われると、ラグの戦闘力半減すると思ってください。……打撃戦ならいつも通りなんですけどね。
半減つっても、元がすこぶる高いので、半減していても、常人以上だと思いますがね。
サファはこれからに期待です。……え、心配? うん、私もだよ!

ではでは。