鈴鳴カフェ

ポケモンの二次創作とオリキャラの小説を連載しています。

last soul 第9話

~名前決めってこんなに大変なんですか~


私がギルドに入って早一週間がたちました。
わからないことだらけですが、何とか毎日頑張っていまーす……
「頑張るのはいいから、名前決めろ、ボケ」
「思いつかないんですもん。先輩、呑気にプリン食べてないで助けてくださいよー」
先輩は私の助けに耳を貸す気もなく、プリンを口に運ぶ。私はそれを見て、机に突っ伏した。
先輩と初めて会った次の日、先輩は仕事でおらず、数日間ギルドにいなかった。そんな先輩は、昨日の夜帰ってきたらしく、私と顔を合わせたのは一週間振りとなる。
私は先輩と別行動していたことになるのだが、その期間、何をしていたか。
その答えは、先輩不在中(一日目)の時にさかのぼる必要がある。
私はおばさん…マスターに呼び出され、部屋へと入った。何を言われるのかと内心おどおどしていたのだが、マスターの口から放たれた言葉は、私の緊張を吹っ飛ばすものだった。
「シュラちゃん、仕事で使う名前を決めてくれる?」
「…………はえ?」
あのときは正直、間抜けな返事が飛び出した。今考えると、滅茶苦茶恥ずかしい。が、同時に気が抜けた。
ってことで、私は自分の名前を考えている………のだが、私はこういうものが苦手なのか、はたまた想像力がないのか、全くもって思いつかないのだった。
「そんなこんなで今日で六日目……」
「こんなんに約一週間かけるやつは初めて見たぞ。色んな意味で尊敬するよ」
それ、絶対嫌な方向で尊敬されてる……嫌だ。そんなの嫌だ。どうにかして払拭したい……
「だったら、さっさと決めろよ。こんなの適当でいいだろ。悩む要素はどこだ?」
「だって、ここで決めたやつは今後、それで呼ばれるんでしょう? その場のノリで変なのつけて、それで一生呼ばれるなんて……考えたくありません!」
「…………あ、そう」
私の熱のこもった思いをさらりと、無表情で一刀両断された。興味がないのか、疲れているのか一つ一つの発言にも感情がこもっていないような気もする。
「なあ、俺、帰っていい? 眠いんだけど」
「駄目ですー! 私と一緒に考えてください! 先輩は私のパートナーなんでしょう? こういうときこそ、助け合いですっ!」
「パートナーをいいように利用すんな、馬鹿。つか、これに助けるも何もないだろ」
うぐっ……それもそうなんですけど……はい。
「せっかくの休みをお前のためになんて使いたくねぇんだよ……勝手に呼び出しておいて、名前決めって……見返りもないしよ」
「み…見返りは考えますって!」
「期待出来なさそう」
「私のことを何だと思っているんですか? 私だっていいの考えられますよ。それとも、何かご希望でも?」
なぜだか、私の名前決めではなく、先輩への見返り品の話になっているが、気にしないでおこう。
「んー………じゃあ、ケーキ買ってこいよ」
「そこら辺のでいいんですか」
「馬鹿か。そんなんで満足するかっての」
「えー……他にありましたっけ? まさか、街のあそことか言いませんよね」
「わかってんじゃん」
街のあそこ、とは。この話で察してくれただろうが、街で人気の洋菓子店のことだ。開店近くなると行列が出来ることもあり、特にそこはロールケーキが美味しいとかなんとか……
「って! 並べってことですか!?」
「頑張ってね~♪ あそこ、美味しいじゃん」
「並んだことあるんですか?」
「あるよ。普通に」
「先輩一人で?」
「一人で」
……勇気あるな。この人。 
ケーキ屋さんに並ぶ先輩の姿を思い浮かべると、なくなないかな、とは思うが、異様な光景ではある。それとも、他人の目にはもっと違う感じで写っているのだろうか。
例えば、彼女のために買いにいく的な……
「彼女いそうだもんな……この人」
「あ? 何言ってんの」
「いえ、何でもないです……じゃあ、それで飲むんで、助けてくださいよ」
「どう助けろと」
そう言われると、思いつかない。どうしたものか。
「なんか思いつくもんないわけ? 別に生まれた子供に名前をつけろって言ってんじゃないんだからよ。意味とかどーでもいいんだよ」
「そりゃそうかもですけど……」
自分の仕事用を考えるのにここまでかかると、将来、子供を持ったときが恐ろしい。……なんやかんやで、タマゴが孵るまで悩み続けそう。
今、関係ないけれども。
「………他の人達には聞かなかったのか?」
「聞きましたよ。コウくんは今まで通り『姉ちゃん』呼びを変える気ないって言われたし」
「そら、そうなるな」
「シリアちゃんは思いつかないって言われて、リアルくんには会えてないし……」
「………ほう」
「ノイズさんは嬢ちゃんでいいとか、冗談言うし。おじさんはシュシュって呼んでるから、新しいの無理って言うし!」
「ノイズさんとメイズさん、考えるの面倒なんだろうな、多分」
「うわあぁぁぁぁん!! 私、どうしたらいいんですかぁぁ!! 先輩! もう私には先輩しかいません……助けてくださいよぉ」
私は身を乗りだし、涙目で訴えた。しかし、先輩は顔色一つ変えず、プリンを食べ続ける。
「私よりプリンなんですか……プリンの方が大切なんですか!?」
「少なくとも、お前の名前決めより大切」
先輩、酷いです。彼女とか出来ないタイプですよ。そんなにそっけないと、女の子に嫌われちゃいますよ。
「…………? 別に構わんが」
「うぅ……先輩のいけず」
目一杯皮肉を込めたつもりなのだが、先輩は気にすることなく、呑気なものだ。
私は実を再び机に突っ伏す。これじゃあ、振り出しに戻っただけ。
単純な名前でもいい、というのはわかっている。しかし、それが難しい。私が最初に思いついたのは、あお、だったが、それは嫌だった。理由として、この色で、体で、いい思いをしたことがないから。
いつだったか、昔、同い年くらいの子供にいじめられたことがある。結果的にコウくん(四、五歳だったと思う)がマジで切れて、その子達をフルボッコにして解決した。……根本的な解決ではなかったが、コウくんが怖かったからかいじられることはなくなったんだったかな。
「なんか…………泣きたくなってきた」
もう、誰か、こんな馬鹿で間抜けで出来損ないの私をお助けください………
顔を伏せて、ブルーな気分になっていると、頭上から小さなため息が聞こえた。先輩だって、こんな私には呆れているんだろうか。そりゃそうですよね、無理矢理付き合ってるんですもんね。私より、プリンですもんね。
「サファ」
「……………え?」
私は思わず顔を上げ、腰を上げた。先輩は頬杖をつきながら、私を見上げる。相変わらず、冷めた目をしているが、今、先輩は名前を考えて、言ってくれた……ように聞こえた。私の記憶と耳がおかしくなければ。
「俺は考えたからな。文句言うなよ」
そう言うと、私から目をそらし、加えていたスプーンでプリンをすくう。
サファ、と先輩は言った。確かにそう言っていた。
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「………サファ」
「嫌なら自分で考えろ。俺はこれ以上考えない」
「嫌じゃないです! けど、サファってどういうこと……?」
「お前の目」
私の……目?
私の目でサファって一体どういうことだろう? そもそも、サファってどこからとったんだろう。
「サファはサファイアから。………綺麗じゃん。お前の目の色」
そんな風に言われたことがなかったため、顔が一気に赤くなるのを感じる。家族以外で素直にほめられたのは初めてかもしれない。そもそも、容姿で綺麗、なんて初めてだ。いつも、気持ち悪いだの、気味悪いだのと言われてきたのに。
ふるふると体が震え、涙が溢れてきた。
「せ…先輩………」
「…………な…!?」
「ありがとうございます! 先輩が考えてくれた名前、凄く気に入りました」
「………そんくらいで泣くな。馬鹿」
「嬉し泣きですっ!」
「ふうん」
ごしごしと涙を拭き、先輩に向かって笑って見せる。それにつられてか、先輩も薄く笑ってくれた。
これから、サファ、でやっていくのか。うん、いいかもしれない。先輩が考えてくれた名前だもん、大切にしなくちゃね♪



~あとがき~
やっと名前がシュラン、からサファになりました~
おめでとう、サファ!

次回、ケーキ買いに行ってきます。そこで色々お話してもらおう。

サファ、何かと苦労してきたようです。いじめとか。ま、紅火が何とかしてきたようですが。
ていうか、四、五歳で年上をフルボッコだからね。紅火、侮っちゃ駄目ですよ。
アホだけど、侮っちゃ駄目ですよ。

ラグ、一人でケーキ屋に並べるみたいですね。何か対策でもしているのやら。バイキングは一人で行ったことないけれど、それは多分、忙しいからだと思います。
行こうと思えば、この子は行くと思う。
ちなみに、甘いものなら基本、常備しているようですわ。特に飴ね。ただ、甘いものを一切とらないときもあるようなので、その時は持ってないらしい。
あと仕事中に食べることはあんまりない。楽なやつは余裕こいて、飴舐めてますがね((

ではでは!