鈴鳴カフェ

ポケモンの二次創作とオリキャラの小説を連載しています。

last soul 第7話

~やっぱりお家は落ち着くものです~


先輩と別れ、家路につく私。コウくんは先に帰ったのか、ギルドにいなかった。
ってことで、一人で帰ってきました。家の扉を開け、中に入る。
「ふあぁ……ただいまぁ」
「姉ちゃん、お帰りー!」
「ただいま、コウくん♪ 先に帰ってたんだね」
「うん。ノイズさんに摘まみ出された後、特にやることもなかったから、帰ってきちゃってた~♪」
ということは、かなり早く帰ってきてたんだ。
「父さんも帰ってきてるよ。姉ちゃんが三番目っ!」
おじさんもはやっ! 今日に限って皆、早いな……あ、おばさんはまだか。
「母さんはギルドの仕事があるからね。ほら、早くご飯食べよー!」
コウくんは無邪気に笑って私の腕を引っ張った。
先輩の話を聞いた後だと、コウくんのギャップに戸惑う。これでも次期頭首、次期マスターなんだよな……コウくんは。
大丈夫なのか……この先。
「? 姉ちゃん、どうかした?」
「ううん。何でもないの!」
いや、コウくんが強いのは誰よりも知っているつもりだ。……いつも私を守ってくれていたのは、コウくんなんだから。
私はコウくんに引っ張られるまま、リビングへと向かった。
リビングに入ると、キッチンで夕飯を運んでいたおじさんと目があった。おじさんはにこっと笑い、出迎えてくれた。
「お帰り、シュシュ」
「ただいま、おじさんっ! あ、手伝うよ。そういえば、今日は早いね。お仕事ないの?」
「お、ありがとう。……なんか、恐ろしい発言するな。早帰りなだけだよ」
「父さん、ついにリストラか!」
「話を聞け! 違うっての!」
おじさんこと、メイズさんはサンダースで紅珠さんの夫。で、コウくんのお父さん。私にとっては父親代わりだ。普段はコンピュータ関係のお仕事をしている……はず。
いや~……お父さんのお仕事とかよく知らないもんだよね! てへっ!
「シュシュ、おばさんのギルドはどうだった?」
「えっとね……まあ、色々あってちょっと大変そうなところで仕事することになっちゃった」
「あぁ……ブラックに飛んじゃったのか。でもあそこには、紅火もいるし、ラグ君もいるから何とかなるんじゃないか?」
「いえーい♪ 何とかなるなる~♪」
「紅火、邪魔。つか、お前も運べ」
「へーい」
あれ、おじさん、知ってたの? コウくんのことはともかく、先輩のことまで。
私が首をかしげながら、質問するとおじさんは料理を運びながら、答えてくれた。
「当たり前だろ~? 俺は紅珠の夫だぞ。事情は知ってるよ。ラグ君とも他の人とも面識あるし。それに、家のことを承知で結婚したんだし」
「………今の今まで知らなかったの私だけ!?」
「そうなるが、大したことじゃないぞ」
「大したことだよ!? だってコウくんが次のマスターとか頭首とか……あわないじゃん!」
今日知ったことで、一番驚いたことをおじさんにぶつけた。すると、それを聞いていたコウくんがムッとした表情になる。
「そこなの~? 姉ちゃん」
「うん。シュシュの気持ち、わからんでもない」
「父さんまでひどーい。偏見だー!」
「現役学生、勉強はどうした。宿題やったか」
「…………ご、ご飯のあと」
「紅火……ただでさえ、登校日数がまばらなんだから、せめて勉強くらいは真面目にだな…」
「ほら! 二人ともご飯食べよ!! お腹すいた!」
「話題変えんの下手だな、我が息子よ」
「ですね。我が弟ながら恥ずかしいですよ」
「むぅ~……先に全部食べちゃうよ?」
これ以上何か言うと、機嫌悪くなって大変なことになるだろう。ここら辺が止め時だな。
「駄目だよ! 私の分がなくなるっ!!」
コウくんの隣に座り、それに続くようにおじさんも向かいに座った。
いつもなら、おばさんが作ってくれるが、帰りが遅いときはおじさんが作ってくれる。こう言ってはなんだが、どちらかというと、おじさんの方が料理は上手。
多分、経験値が違うんだろうな……
そんなことを考えながら、私は手を合わせた。そして、三人で声をあわせる。
「いっただきまーすっ!」
各々、好きなものに手を伸ばし、口に運ぶ。
「ん~……おじさん、これ美味しいよ♪」
「おう。よかった」
「んぐ……姉ちゃん、このあと、勉強手伝って……」
さっきの言葉が刺さっているのか、珍しく勉強をするらしい。私は嬉しくなり、笑みが溢れる。
「もちろんっ♪ 難しいのはあれだけど、簡単のなら!」
「シュシュも学び直しか?」
「そんなことしないもーん……」
おじさんの意地悪な笑顔をスルーしつつ、食事の続きに移るとしよう。
………正直、私も勉強はあまり好きではない。
おじさんは頭がよく、昔、色々教えてくれた。ついでに言うと、教え方も上手かった。そう考えると、私よりおじさんの方が向いている気もするが……
「コウくん、このあと頑張ろうね?」
「うんっ!」
コウくんの元気な返事を聞き、このあとの勉強会を頑張ろうと感じた。そのためには、きちんとご飯食べないとね♪

メイズが片付けを終わらせ、椅子に座って休憩をしていると、玄関の開く音がした。誰かを確かめることなく、入ってきた人物に話しかける。
「あぁ、おかえり。紅珠」
「ただいま、メイズ。遅くなっちゃった……もう二人とも寝てるよね?」
「もう日付変わってるからな。今日もお疲れ様」
「いつもありがとうございます」
メイズの向かいの席に座り、ふぅ、と息を吐いた。メイズは先程までの二人の様子を楽しそうに話始めた。
「ご飯食べたあと、シュシュが紅火の勉強見てたよ。仲良しでありがたいことだね」
「あら、珍しい。紅火が勉強をね」
「俺が口出したからかも」
「あなたのおかげだったのね。うふっ♪ それなら、これからもよろしくね?」
「えぇ~……毎回言うのは疲れんな。反抗期きたら、言うこと聞かなくないか?」
「あの紅火に反抗期? 本当にあると思う?」
「…………ないな。あ、なんか飲む?」
「ありがとう。貰おうかしら」
メイズが席を立ち、キッチンへと向かった。その様子を眺め、ふと、二人が寝ているであろう部屋へと目をやった。
「あれでよかったと思う? 選択、間違ってない?」
「シュシュを組織に入れたこと? んー……ラグ君がずっと反対してたのは知ってるよ」
「私があなたに愚痴ったもの」
カチャと小さく音をたて、紅珠の前にカップが置かれた。ハーブの落ち着いた香りが漂い、そのカップを手に取った。メイズが席につき、ハーブティーを飲みながら、にこっと笑う。
「でもまあ、どちらも正解だと思うけどな。ラグ君の巻き込みたくないって意見と、紅珠の知らなきゃいけないって意見も、どちらもありだし」
「中立の立場を取るのね」
「まあね。どちらかといえば、ラグ君の味方かな? シュシュに危険なことはさせたくないからな。けど……シュシュはいつか、自分のルーツを知らなきゃならない。それは二人とも同意見だろう?」
紅珠は少し不満気な表情になりつつも、メイズの意見を肯定した。
「大丈夫。紅珠が心配するようなことには、きっとならない。シュシュなら乗り越えるって」
「そこは私だって心配してないわよ。けど……」
「不安になってるじゃん。かわいいね」
「メイズ、からかわないで。私は真剣なのよ?」
「んじゃあ、一人で悩まないことだね。ノイズもロスもラグ君だっているだろ。あ、引退したけど、俺も」
「ノイズは裏方業に勤しんでるし、ロスは長期任務中でいないのよ。あてはラグだけど、対立してて平行線だし、あなたは完全に足洗ってるし……戻る気はないんでしょ」
「主夫業を片手に普通の仕事すんのも悪かないから。それに俺が戻ってもブランクキッツいな~♪」
「お気楽なんだから……全く」
「俺のいいところだろ?」
「…………そうね」
にこっと掴み所のない笑顔を見せられ、苦笑ぎみに返事をした。メイズは大丈夫だ、と、もう一度紅珠を安心させるかのように呟く。
そして二人はしばらくの間、他愛ない話を続けるのだった。



~あとがき~
あ、ラグの師匠出せんかった……
予告を飛ばすのは私の十八番ですからね!((殴

次回、ラグに視点を置き、師匠との会話をしてもらいます。

紅珠、メイズ、ノイズは幼馴染みです。
あと、名前しか出てませんが、ロスもその仲間に入ります。その四人は二十年以上の付き合いになるかと思います。
実はそこにラグも入ってきますが……彼はその四人とは半分の十年以上の付き合いってなります。
ラグの幼い頃を知っている四人ですな。
………もう一人いますが、また後で出てきますよ♪
メイズとノイズ、名前が似てますが、兄弟とかそういうことではない。が、親戚同士ではある。

メイズは現在、普通の社会人として社会に貢献していますが、昔は紅珠たちと仕事をしていた仲のようです。
引退した理由は別に、シリアスなものでもなんでもありません。
ただ単に紅珠の代わりに子育てを請け負っただけなのです(笑)
今では紅火も大きくなり、落ち着いてきたので、戻れるちゃあ戻れますが、ブランクキッツいとか言って、戻る気ゼロです。なんやかんやで、今の仕事が好きなんだと思います。

ではでは!