鈴鳴カフェ

ポケモンの二次創作とオリキャラの小説を連載しています。

last soul 第6話

《この物語には死ネタ、暴力表現等の描写があります。閲覧の際はご注意ください》





~今日はとりあえずここまでっ!~


そもそも、政府ってこの国をまとめる人達の組織でしょう? それとこれとどう関係が? というか、そんなことを言うと、やりたい放題なのでは?
「馬鹿か。政府公認だからって、なんでもしていい訳じゃねぇよ」
「そりゃそうですよね」
「当たり前だ。やれることには限界がある」
そうですよね。
しかし、証拠を残してもいい、というのはここにあるのだろう。裏に大きな権力があるからこそ、成せる技ということか……?
まあ、残さない方がもちろんいいのだろうが。私がもし、一人で仕事をした日には、どれだけの証拠が残るのだろうか。恐ろしくて考えたくもない。
「あとは名家の話をしときゃいいのか」
「めーか……?」
「マスターも紅火もそこの出身だ。名家っつーのは、この世界の有名人みたいな感じだな。マスターと紅火は紅の一族の末裔だ」
マスター達ってそんな凄い人だったんですか!?
「お…おお……つか、知らなかったのかよ」
全く知りませんでした。今、先輩から初めて聞きましたよ……私って世間知らずですかね?
「さあな。……名家は本家と分家の二つに分かれる。基本的に一族と呼ばれるのは、本家の人達だけだ。分家は分家で独自の技術とネットワークがあるけどな」
本家と分家? 一族ってなんですか? というか、コウくんとマスターって本名じゃないですか。いいんですか?
私が色々質問をぶつけていると、先輩がジト目で睨んできた。一度に質問をぶつけたから、面倒になってきたのだろう。しかし、教えてくれると言ったのだから、しっかりと果たしてもらわねば。
「順を追って話す。まず、一族のことだが、その道のエキスパートって言えばいいか? 裏の世界を支えるための大きな存在。一族の奴らは一つの能力を持ち、表と裏の均衡を守り続けている」
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能力……?
「その能力を受け継いだやつが次期頭首となる。現在、紅の一族の頭首は紅珠さん。紅火は能力を継いでるから、次期頭首だな」
………コウくんがリーダーってことですか? それ、大丈夫なのかな。
「知らん。が、あいつはアホの申し子みたいな奴だが、実力はある。アホだけど」
コウくんが実力者……か。
いつも家での雰囲気を見るに、そうとは思えないのだが、先輩が言うのならば、そうなのだろう。
「他の一族は、大して関わることはないだろうがな。一族は各々の分野で根を張っている。紅珠さんがギルドを営んでいるのも、一族の頭首だから」
つまり、マスター…おばさんたちの一族は、ギルドを代々営んでいるってことですか? そして、おばさんの持つ能力を受け継いだコウくんがその後を継ぐ……と。
「そうだ。ギルド以外にも金融業界、政府関係、警察関係、芸能関係とかもある。……ま、分野は違えど、一族は殺しの腕は相当ある」
表は表で違う方法で守って、裏ではおんなじことする……ってことですね。
「ま、そういうこと。で、本名なのは、一族である証明になるからだ。ぶっちゃけ、あれも本名である保証はないんだけど……とりあえず、一族の話は終わり」
な…長かったけれど、要は凄い人たち……ってことですね!
私がそう言うと、先輩は納得がいかないような表情を見せたが、そうだな、と小さく返事をしてくれた。
そして軽く咳払いすると、話を続けた。
「次に分家と本家だな。本家は一族たちのこと。分家はそこに派生して出来た血筋の人達のことだ。ノイズさんが分家の出身だな」
そうなんですか? ノイズさんって……あのピカチュウさんですよね?
「そう。あの人はメカニックなんだ。一応、暗殺者ではあるが、今はそっち方面では動いてないな」
「え、なんで……?」
「……以前、仕事で大怪我したんだ。んで、仕事に影響が出るほどだから、仕方なく裏方に回ってる」
「う……嫌なこと聞いてごめんなさい……」
「俺は構わん。本人に聞く方が気まずいだろ?」
それは、そうかもですけど……
先輩は気にすることなく、淡々と話していく。先輩の言う通り、ノイズさん本人に聞くのも悪いかなって思うけれど、先輩に聞いてしまっていいのだろうか。
「まあ、そんなことがあって、ノイズさんの右目と左耳は駄目になってしまってる。あの人のしている眼帯と包帯はそういうことだ」
つまり、片方ずつ見えていないし、聴こえていない?
私がそう言うと、先輩は無言でうなずいた。
何度も思うけれど、何があっても不思議じゃないんだな……この世界は。
「皆、ここにいる理由とか言えないような事情がある。……俺も人のことは言えないけど」
「………先輩?」
一瞬、先輩の表情に影が落ちた気がしたが、気づいたら先程と変わらない無表情に戻っていた。
私の気のせい……?
「ま、俺の話はどうでもいいけど。あとは……そうだな…証明証の話とかしたいんだが……」
「? 何かあるんですか?」
「明日から数日間、仕事だから早めに寝たいだけだ」
……個人的すぎる。
でもまあ、そういうことなら、今日はここまででも構いませんよ。別に今すぐじゃなくたって、いいですし。
「……そうか。ま、気になるなら俺以外の人から聞いてくれ。俺がいない間、ここに入るときは紅火に入れてもらえ」
先輩は立ち上がると、そのままこの部屋を出ていくのか後ろを向いた。私は慌てて先輩を呼び止めた。
「あの……先輩!」
「…………なに」
「これから、よろしくお願いします! 私その…初めてのことばっかりで迷惑だと思うんですけど……あの………えっと…」
「…………あぁ、よろしく」
ふっと笑った先輩の顔はとても柔らかく、その笑顔をどこかで見たような気がする。もちろん、先輩とは初対面だから、会ったのはこれが初めてのはずだ。私は誰かと重ねているのかもしれない。
「じゃ、また」
「はいっ! お疲れ様でした!!」



~あとがき~
説明ばっかだと疲れるので、一旦切ります。
あと話の流れがわからなくなるので……ごめんなさいです。

次回、ラグの師匠とか、紅火とシュランのお父さんとか出したい。シュランの場合、お父さん代わりの人ってことになりますがね。

一族とか深く考えてませんが、殺しつーか、暗殺のエキスパートってことだと思います。
始末屋という、最高ランクに位置するラグですが、彼は一族でも何でもないですよ。
彼は彼でちょっと特殊ではありますが、一族とは全く無関係なのだ。
シュランはそうね~……関係なくはないですよ。
だって、紅火のお姉ちゃんやってるしな(笑)
知らなかっただけで、関係はあったってことですね。はい。

ノイズさんのことを少し出しました。
昔は普通だったんです。
なんで大怪我負うことになったのか、やめなきゃいけなかったのか、とかは大して深く考えてないけどねっ☆

いつか、ラグがこの世界にいる理由とか言えたらと思っています。過去編ってやつやな。
今ここで簡単に言えるのは、紅火くらいでしょうか。
あいつは紅の一族の次期頭首なので、強制的にです。
大して気にしてないですよ、紅火くんは。

ではでは!