鈴鳴カフェ

ポケモンの二次創作とオリキャラの小説を連載しています。

last soul 第5話

~見た目とキャリアは反比例だと思います~


先輩に紹介してもらい、全員の名前と顔を叩き込む。そこまで多い人数ではないから、すぐに覚えられる……はずだ。
「姉ちゃんがほんとに来るとは思ってなかったな。 これから、よろしくね~」
コウくんにいたっては、今も昔もよろしくお願いたします状態だよ。今更感満載だよ。
「あ、ごめん。つい♪ ところで、ラグさん。姉ちゃん、これからどうするんですか? 見習いですよね」
コウくんが誰かに向かって敬語を使っているとは……初めて見たんですけど。
コウくんが言った、見習い、とは、何らかの仕事の話だろうか? 見習いって、いわゆる、弟子入り……的な。
「俺がコンビ組むことになったから、直接教える。問題ない」
最後のケーキの欠片をフォークに刺しながら答えた。先輩のこの返答に驚いたのか、先輩と私以外の動きが止まる。今の今まで、大して話に興味を持っていなかったであろうリアルくんとノイズさんですら、固まっていた。
え、何? この反応……?
「ラ、ラ、ラグさんが………姉ちゃんとコンビ!?」
「嘘だろ? 誰か嘘だと言ってくんない!?」
「ちょ…ノイズ兄、近い」
「ラグ! それってつまり、そういうことか!! えっと、なんで!?」
「シリア、近い。離れろよ。……なんでって、マスターに言われたからだよ。仕方ないだろ」
「ラグがコンビ組むとか……一時的?」
「いや、知らないですけど」
皆の反応を見ると、ラグ先輩が今までコンビを組んだことがなかった、ということが伺える。更に、ここにいる誰もが、先輩と私がコンビを組むことを信じられないということもわかる。
そんなに驚くことなのかわからないが、今までの先輩を見てきた皆なら、当然の反応ということだろうか。
「とりあえず……姉ちゃん、頑張ってね」
「え、頑張るって……?」
「ラグさんとコンビ。あの人、仕事スピーディーだから、ついていくの大変だと思うからさ」
コウくんがそう言うと、先輩は少しだけ首を傾げる。
「そんなに早いか?」
「あのさ、自覚しよ? お前、ヤバイからな」
「マジっすか」
ポン、と先輩の肩に手を置きながら、ノイズさんがマジだよ、と呟いた。本人は自覚がないのか、まだ首を傾げている。
先輩ってそんなに凄い人なのか。
「凄いってもんじゃないです。……ランクも一番上ですから」
私の呟きを聞いていたのか、リアルくんが薄く笑いながら答えてくれた。リアルくんの発言を聞いて、何か思い出したのか、先輩が立ち上がった。
「あー……そろそろ仕事関係の話をしないとな」
「お、お願いします!」
「ん。……とりあえず、周りにいる奴らは散れ」
「えぇー? 俺、ラグさんの説明聞きたいでーす」
「俺も俺も」
「紅火は理解する以前にアホを治してこい。シリアはリアルに聞け」
「なんで俺がシリアに…………やですよ。それ」
「ぶーぶー」
コウくんとシリアちゃんがむくれていると、ノイズさんが二人の後ろから手を伸ばし、首を掴まれた。
「うわぁ!? ノイズさん!!」
「にゃあぁあぁ!!」
「この二人はリアルと俺っちでなんとかするから、ラグと嬢ちゃんで話しな。ラグ、きちんと説明してあげるんだよ?」
「はあ……わかってますよ。努力します」
にこっと笑いながら、二人を引っ張ってどこかへ行ってしまった。リアルくんもノイズさんについて行っていく。結果、周りには誰もいなくなり、私と先輩だけとなった。
「さて……何から話していいのやら」
「それは先輩に任せます……はい」
先輩はどこからかロリポップを取り出すと、それを舐め始めた。先程、ケーキを食べ終わったばかりだというのに、もう新しい甘味に手を出しているとは。
「あーもう、最初から話すけど……俺達が所属している裏組織の名前、ブラックって言うんだ」
「なんか単純ですね。って、名前あったんですか?」
「一応。そのブラックも大きな組織に所属しているんだが、それは今はいいや」
ということは、ブラックっていうのは、チーム名みたいなものですか?
「まあ、それでいいと思う。………で、お前、裏の仕事って言ったらどんなことを思い浮かべる?」
「えっと……危ないことですかね?」
「漠然としているな」
「あとなんだろ……あ、怪しげな物を運ぶとか!」
「捕まるな、それ。ヤクザじゃねぇんだよ、俺らは」
ですよね。わかってました。……けど、それくらいしか思いつかなかったんですもん。
「しかし、そういう奴らを取り締まるという意味では強ち間違いではない。要するに、裏で動く奴らを取り締まる仕事ってことだな」
「裏社会の取り締まり……ってことですか?」
「意外と物分かりいいな」
先輩が少し驚いた顔になった。馬鹿にされているような気もしないではないが、褒め言葉として受け取っておこう。
「でも、そういうのって警察の役目なんじゃ……?」
「出来たら、俺達は不要だよ。不要。……出来ないからこそ、存在するんだろうが」
「? どういうことですか?」
「世界にはどれだけの悪人がいると思う? ただのこそ泥から大悪党まで様々いやがる。その中でも、俺達が相手取るのは、大悪党達だ。それも質の悪い奴ら」
……なんとなく見えてきたような気がしてきた。
警察では手に負えない人達の取り締まりを請け負うのが、裏組織なのだろう。恐らく方法は一つだ。
武力行使ってやつですか?」
「そうだな。もっと言うと、殺しの仕事だな」
直接過ぎますよ……殺し!? 嘘! えぇっと……殺しって……えーっと……あの…テレビとかでよくある……あれ?
「その認識でいいんじゃね?……で、さっきリアルが言っていたランクなんだが、大きく分けて三つある」
「あ、ランクの話……」
「分かりやすいように言うが、殺し屋、暗殺者、始末屋の三つだ。殺し屋になる前は見習いとして、訓練を受けるから、お前は一応、今は見習いだな」
何が違うんだろうか。全くわからない。
「見習いはいいとして……三つの違いは、仕事内容にある。全体の目的は三つとも同じだが、殺し屋は手段問わず、一人のターゲットだけを狙う。証拠を残そうが、顔が相手にバレようが殺せば問題なしって感じ」
はあ……それはまずいような気がしますが……
「いや、大丈夫だ。それは後で答えるとして……で、次。暗殺者だが、それは言葉の通りだな。一人のターゲットを証拠を残さず、顔をバラさず殺すんだ。ほとんどの裏組織の人はここ止まりだな」
では、始末屋とは……?
「これは一人単位じゃなくて、組織単位を相手取る。情報処理、情報回収が主な仕事。もちろん、ここまでになると、顔をバラさないとか関係ないけど、バレないように頑張ってねー……的な?」
軽っ……!?
「だって、一組織を壊滅させんだから、顔を隠さなくてもいいと言うか……なんと言うか。ま、ここまでランク上げてくる奴もそうはいないけど」
ほへー………あれ、でも、さっき、リアルくんが先輩のことを一番上のランクだって言ってませんでした?
「あぁ。だから、俺は始末屋ってことになるな。そう大きな仕事もないが、失敗は許されない」
あ……この人、エリートや。
先輩は見た感じ、まだ若い方だろう。それでほとんどの人が暗殺者止まりだというのに、先輩は始末屋と言っているのだ。人一人相手ではなく、組織単位……つまり、何十、何百と相手にすることが普通なのかもしれない。
下手すると、何千かもしれないが……何にせよ、それだけの相手を先輩一人で相手にしているのか。
そう思うと、この世界、恐ろしく、不安定な世界だ。
いつ死ぬかわかったものではない。
「で、さっき、証拠を残してもいい……って言ったんだが、理由は、国家公認…政府公認だから」
そういえば……初めて会って、少しだけ説明を聞いていた。そのときにも言っていたっけ……国家公認って。
政府公認……何しても大丈夫とかそういうことなのだろうか? なんか怖くなってきた。



~あとがき~
今回は挿し絵なしっす。
思いつかなかったってのもある。
色々説明しましたが、大丈夫だったかなー……?

次回も説明、続きます。

ラグが後で話す、と言ったやつを今回の説明回でほぼ回収したいと思っています。言わないこともあるでしょうが、それは後々言ってくれると思います。

今回、わかったことは、組織名とランクの話。
別に全員が殺し屋だの暗殺者だの言っているわけではなく、別の名称があるみたいですね。わかりやすく言うため、ラグは直接的な方を使いましたが。
そして、ラグは一応、始末屋さんだそうな。
他の人達はまあ、後で紹介しますね。

ではでは!