鈴鳴カフェ

ポケモンの二次創作とオリキャラの小説を連載しています。

last soul 第1話

~男女の出会いってそこまでロマンチックじゃないんだよね~


今日、私はおばさんの仕事場に面接というか……配属されることになっている。いわゆる、コネってやつ。
私はそんなの使う気はなかったのだが、完全にニート生活まっしぐらになるくらいなら、有り難く受けさせてもらおう……ということである。
「私、おばさんのお仕事のこと、よく知らないんだけど……どんなとこ?」
私の斜め前を歩いていたおばさん…紅珠さんは振り返りにこりと笑いかけた。
「それは、来てからのお楽しみにしましょ♪ シュラちゃん」
それだけ言うとまた、前を向いてしまった。
おばさんは私の本当の母親ではない。私はエーフィの色違い……というか、青色だし、おばさんはバクフーンだもん。
私の両親は物心つく前に死んでしまった……らしい。らしい、というのは、話に聞いただけだからだ。
私もその場にいたようだが、その事を覚えていないのだから、話を聞いたってピンとこない。
まあ、そんなこんなで、両親と仲のよかった紅珠さんに引き取られた、ということ。
「さて、ここよ。私が仕切る仕事場♪」
「ほ…ほえぇ!? ここ、ギルドだよね!? おばさん、ここの人だったの? 確か名前は、ラストソウル……だっけ」
「そうよ。表舞台に名を通しているわけじゃないけれど、それなりに強いギルドよ♪ シュラちゃん、頑張らないとね」
ラストソウルを略して、L.Sと言う人もいるらしい。おばさんの言う通り、そこまで有名なギルドってわけではないが、強いと噂には聞いている。
見た目は普通のギルド。一見、宿舎のようにも見えなくはないし、教会のようにも見える。
大きさは、二階建て……というところだろうか。
私、こんなところでやっていけるのかな。
おばさんはギルドの扉を開け、中に入っていく。慌てて、私もそのあとを追う。
中に入ると、数十人の人達が各々話している。話の内容はわからないけれど、仕事の話だろうか。
私と同じくらいの人もいれば、年上の人達もいる。年齢層的には、かなり広いのかもしれない。
「用があるのは二階よ。ついてきて?」
「う…うん……でも、どこ?」
「マスターの部屋よ。二階にあるから、そこで話をしないとね」
そ…そうだよね……今日からよろしくお願いしますって言わないと。ここのギルドってなにするところなのかな……? 
ギルドと一口に言っても、色々ある。
頼めば何でもやる、総合ギルド。商売を目的とする、商用ギルド。郵便、配達を目的とする、配達ギルド……あげていったらきりがないくらい多い。
ここは総合ギルド……だったはず。でも、私の記憶力ってあてにならないからな。
「あら、早いわね。そこまで早く来なくてもよかったのに」
「マスターに呼ばれて、遅れるわけにはいかないっすから。……で、頼みって?」
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おばさんと親しく話しているのは、垂れ耳で二足歩行のリーフィアだ。声からして男の人だろう。首には黒色のスカーフを巻き、長い手袋とブーツを履いている。頭にはゴーグルを着けていた。
なんかかっこいい人だなぁ……
「ラグ、この子が今日からここで働く新入りちゃんなの。あなたが色々教えてあげて?」
「はあ……そいつが…ねぇ」
なんか馬鹿にされているような……?
ラグと呼ばれたリーフィアさんは、こちらをじっと見てきた。何か言うわけでもなく、ただ見つめてくる。
恥ずかしくなり、思わず俯いてしまう。少しだけリーフィアさんの方を見ると、すでに私の方は見ておらず、おばさんの方を見ていた。
なんか、馬鹿みたいだよぉ……私。
「シュラちゃん、ここでは、私、とりあえずマスターさんなの。困ったことがあったら、私かラグ…そこのリーフィアに聞いてね? それじゃあ、よろしくね」
おばさんってそんなに偉い人なんだ。マスターってことは、いわゆる、社長さんってことだもんね。
「腑に落ちないですけど……しゃあねぇっすね。おい」
「はっ…はいぃ!!」
「なに驚いてんの? とにかく、俺についてこい」
「はい……わかりました」
「そうそう。ラグ、終わったら戻ってきて」
「? はあ……了解です」
おばさんは笑顔で私達を見送った。部屋を出て、下に降りるのかと思ったら、廊下を右に曲がった。そして、扉が見えてきて、リーフィアさんはそれを躊躇なく開ける。
中は図書室のように沢山の本が置いてある。見渡す限り、本の山! うわあ……私は、全くと言っていいくらい、本とは縁がないけれど……これは素直に感激する。
「お前、名前は?」
「シュランです。シュラン・ブ…」
名前を言おうとしたら、リーフィアさんに途中で止められた。言えと言ったのはそっちなのに……なんでだよう。
「馬鹿なのか? 誰が本名丸々言えと言った。命でも捨てに来たのか?」
「な、名前を言えって言ったじゃないですか! それなのに、なんでそこまで言われなきゃ…」
「はあ!? お前、ここがどこだかわかってないの?」
どこって……ギルドでしょう?
「えーっと……マスターから…紅珠さんから何も聞いてない?」
「はい。全く」
リーフィアさんはガクッと項垂れると、ぶつぶつとなにか言い始めた。どうやら、この状況におかれたために浮かんできた愚痴を言っているようだ。なんとなく、耳を済ませてみた。
「なんだよなんだよ……こういう時だけ投げんの止めて欲しいわ。大体なんで俺なんだよ。俺、女嫌いなんだけど……しかも、こんな間抜け面のやつに…」
間抜け面!? あのさぁ……初対面でそれはないんじゃないの? 先輩だかなんだか知らないけど、失礼に値するわよ!?
「あぁ……悪い。つい本音が」
はぐぅ……
今度は私が項垂れた。リーフィアさんはさらりと復活している。
かっこいいと思ったの撤回するわ。この人、性格悪い! 女の子のハートをここまで傷付けておいて、つい、で済ませたもの……そんなのってないよ。
「自己紹介してなかったな。俺はラグ。この名前はニックネームみたいなもんだから。とりあえず、よろしく」
無愛想で自己紹介されても、印象がないんですけど。
でもまあ……とりあえず、ラグ先輩ってことでいいらしい。ニックネームということは、本名は別にあるのだろう。
「ラグ先輩の本名は?」
「言うわけないだろ、バーカ。その理由を簡単に言うぞ。このギルドは、国家公認の裏組織みたいなもんだ。だからこそ、本名を明かすことは自殺行為にあたる」
ラグ先輩の口から、処理しきれないくらいの情報が飛び出してくる。私は理解しようと頑張るものの、そもそもの話、世界が違っている。
国家公認? 裏組織? 名前を明かしたら、自殺行為って?
なんだか、私……凄いとこに来ちゃったかも……?



~あとがき~
シュランちゃん、大変なところに来たようです。
大丈夫なのでしょうかね。

次回、ラグさんから色々説明していただきます。

シュランを育てたバクフーンさんの名前、紅珠と言うんですが、普通に『こうじゅ』と読んでください。
他にどんな読み方があるか知らないけど、まあ、そんな感じです。
紅珠さんは(表向きには)総合ギルド、ラストソウルのギルドマスターさんです。偉い人です。
ちなみに、子持ちのお母様でもあります。その子達は、また次回以降にて。

今回は入れましたが、挿し絵は入れたり入れなかったりなので、あしからず。
入っててもカラーとかは期待しないでくださいね。気紛れで色を塗るかもですが、今現在では白黒で考えています。

ではでは。